野外で使うためのオーディオ機器が急に欲しくなったので作製する事にした。
目標はスピーカー(2.1ch)、アンプ、イコライザ、ノートパソコン、PCDJがリュックサック1個に入る事。
地元に帰った時にでも、大自然の中で大音量の音楽をかけてやろうと企んでいる。
まずアンプに使用する石だが、秋月電子に売っているTAA4100Aを選定した。
T級という初めて聞く増幅方式の石だが、データシートを見る限りだと、要するにほぼD級という事らしい。
まぎらわしいので、変な個性は出さないでほしい。
メーカーはトライパス社。TA2020で著名なメーカーなので音質には期待できそうである。
ネット上に作成例があまり無いところも冒険心をくすぐるところだ。
回路設計。
今回の一番の目的は小型化なので、可能なかぎり表面実装品で行く事にした。
フィルムコンなどのこだわりの品を使うつもりはない。
回路はほぼデータシートのコピペだが、サブウーファー用の回路には入力段に100Hzの2次ローパスフィルタを入れた。
また、MUTEBにも2秒の時定数を入れた。最初はMUTEBを4Vに直結していたが、とんでもないポップ音が出てきたので対策した。
SLEEPBをHIにすることで5VGENとCPUMPがチャージされ、MUTEBをHIにすることでスイッチングが始まる。
重要なのが放電ダイオードのそばに入れたコンデンサである(赤丸部分)
コレが無いとTAA4100Aが誤作動し、無音時でもスピーカーがボコン、ボコンと痙攣を始める。
最初はこれの原因が分からずにだいぶ苦労した。
データシートにもダイオードの近くにコンデンサを入れろ~とは書いてあったが、パスコンいっぱい入ってるし大丈夫やろという気持ちで全力スルーしていた。
データシートにはちゃんと従うべきである。
ついでにコンデンサを入れた事で、無音時のサーッという音がスーッというまでに改善した(あくまで主観)
基板製作 最近流行りのトナー転写法である。 これのお陰で、だいぶ基板作りの敷居が下がった。
感光基板でやってた頃は、パターン転写の失敗率が高すぎて本当に鬱だった。金もかかるし
3回連続で感光に失敗したときは本気でノイローゼになりそうだった。
トナー転写の場合は、たとえ失敗したとしてもアルコールでパターンを消してまたやり直すことができる。
そもそも失敗した試しがないほど成功率が高い。
実装
しました。可能な限りパターンは太くしたが、100W出せる気がしない。
せっかくなのでスイッチング波形を観測してみる。
データシートには周波数は明記されていなかったが、周期1.5us、周波数約670kHzで発振しているようである。
D級アンプにしてはちょっと低めな設定か。
もしかしたら、TA2020のように自分勝手に周波数を変化させる仕組みなのかもしれないが。
梱包
基板とほぼ同じサイズのケース(11cm×8cm×2.5cm)に無理やり詰め込んだ。
ケーブルが重ばって閉まらないので、最後のネジ止めはもう力ずくである
しかし見た目が激しくダサい。特にヒートシンクの部分
ファンでも付けて隠してやろうかと検討中
(合成画像)
適当なスピーカーで音出しをしてみた。
サブウーファー回路のゲインはメインの11倍にしているが、
サブウーファー1台だとボリュームの調整しろが足りないと感じた。
目いっぱい回して丁度良いくらいである。
50倍に変更する事にした。
一応スペックとしては100W×4chだが、このボロマンションでは音出しができないので本当に出せるかは分からない。
配線に使っているケーブルもAWG22なので、実際に100W出すと焼け切れる可能性まである。
いずれ火災の心配のない場所ででも試してやろうと思う。
おわり。
<追記>
実家で100W出してきました。(メイン2ch、ウーファー1ch)
平気で100W出ました。
ヒートシンクは無音時も爆音時も変わらず触ると熱いなぁって程度でした。(60℃程度だと思います)
さすがデジタルアンプ効率が良い。
>「ダイオードの近くにコンデンサ・・・」 は大変参考になりました。
出力MOS-FETの強力なスイッチング出力で生じたスパイクノイズを制限吸収するためのダンパ-
ダイオードは副作用として電源ラインを変動させてICの誤動作を起こすようです。
ダンパ-ダイオードの+側と-側の電源線を最短のループで交流的にショートさせて固定すると、
コンデンサの最短ルーク回路でスパイクノイズが抑え込まれて、電源ラインを変動させずにICの誤動作や負帰還への影響を防ぐことが出来る様です。 私も、再認識して忘れないようにしたいと思います。
>「トナー転写法」 良さそうですね。 私も勉強して使ってみようと思います。 ありがとうございます。
理由は分からないままそういうものとして流していたのですが、詳しくメカニズムを解説して頂きありがとうございます!
トナー転写法とても便利です。私の使ってるラミネータB426Aは温度が低く、中の回路を改造して温度を上げる必要があったのですが、改造なしでもできるラミネータもあるみたいです。